遍路道の世界遺産登録に思う





あれこれネットサーフィンをしていると、とあるインターネット記事に四国八十八ヶ所ミニ霊場のことを特集していました。なんでも、境内に四国八十八か所ミニ霊場を設置していて、数時間ほどで巡礼できることが人気のようです。

興味がそそられましたので、ちょっと調べてみました。そのお寺は、茨城県の土浦にある、大聖寺。こちらがホームページ です。おおむね次のようなことを書いていました。

本四国霊場の1,000分の1の、全長約1,500mの巡拝コースにある、八十九ヶ寺(三十番札所は二つあるため)をチェックポイントとして順に回るようにできています。また、一尊ごとの説明看板には寺名・宗派・所在地・御詠歌を記入してあり、納札箱が用意されています。この納札箱にお札を納めながら巡拝します。

東日本にあるお寺でこの人気。四国八十八ヶ所も全国的に知られるようになって来ました。私は20年ほど前、関東のとある県に数年暮らしていたことがありますが、四国八十八ヶ所遍路の話題はその期間一度も耳にしませんでした。

近頃、政治家や元プロ野球選手もお遍路することで、東日本にお住まいの方々にも多少は宣伝になっているようです。この著名人お遍路さんは、残念ながらいいイメージがあまりないのですが…。

もっとも四国の自治体も、今年の8月8日に「四国八十八箇所霊場と遍路道」という提案書を作成。そして札所や遍路道の文化財指定に向けた取り組みの方向性を示し、この提案書を文化庁へ提出しています。

地元経済界や自治体が一体となった、世界遺産登録推進協議会がこの提案書を作成していることでも、その本気度が垣間見えます。四国八十八ヶ所遍路の世界遺産登録へ、着実な歩みをすすめているといえましょう。

私のような新人の、しかも車遍路さんでも、四国八十八ヶ所の遍路文化が注目されることに悪い気はしません。世間一般のまだお遍路をされたことのない方々に、このすばらしい遍路文化を知っていただきたいと思っています。

だたしその結果として、「わび」「さび」といったような、本来四国遍路が持ち合わせている、物質的・精神的「閑寂さ」が希薄になってしまうかもしれません。世界遺産化に反対されているお遍路さんが少なからずいらっしゃるのは存じていますが、多くはこのような理由からでしょう。

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高野山の壇上伽藍や金剛峰寺の蟠龍庭を見ればわかります。清水や金閣、厳島などの寺社も。世界遺産化することによって、四国八十八ヶ所の遍路文化も、少なからずこのような道(俗物化)へと進むでしょう。(※俗物化というのは寺社側ではなく、それを取り巻く人たち=業者・観光客のことです)

たとえそうだとしても、世界遺産化することによって、四国八十八ヶ所の遍路文化の裾野は確実に広がります。以前ならば全く視野に入っていなかった方々にも四国八十八ヶ所が注目されるようになるわけです。

子どもたちが両親や祖父母に連れられて四国八十八ヶ所を巡礼する。遠く離れた場所で四国八十八ヶ所ミニ霊場が人気を博す。全くもって良いことだと思います。

とまあ、このようなこともたまには考えていたりするわけです。一般人の戯言だと一笑に付してくださいませ。




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